借り上げ社宅・役員社宅・住宅手当の違い|どれを選ぶべきか

「借り上げ社宅」「役員社宅」「住宅手当」——似た言葉ですが、税務上の扱いも、経営者が受けられるメリットも大きく違います。混同したまま選ぶと、本来受けられるメリットを逃すこともあります。
この記事では、それぞれの違いを比較表で整理し、経営者がどれを選ぶべきかを役員社宅の視点から解説します。
借り上げ社宅とは

借り上げ社宅とは、会社が賃貸物件を借りて、それを社宅として役員や従業員に貸す仕組みです。会社が自社で住宅を所有するのではなく、賃貸物件を「借り上げて」社宅にする点が特徴です。
借り上げ社宅の基本構造
物件オーナー
住宅を所有
会社が家賃を支払う
会社(法人)
借りて社宅にする
役員・従業員
社宅に住む
入居者が一部を負担
会社(法人)
社宅を貸す
この借り上げ社宅を「役員」に貸すと役員社宅、「従業員」に貸すと従業員社宅になります。つまり役員社宅は、借り上げ社宅の一形態と考えると分かりやすいです。
借り上げ社宅・役員社宅・住宅手当の違い

| 項目 | 住宅手当 | 借り上げ社宅(従業員) | 役員社宅 |
|---|---|---|---|
| 支給の形 | 現金を給与に上乗せ | 会社が借りて貸す | 会社が借りて役員に貸す |
| 税務上の扱い | 全額が給与課税 | 賃貸料相当額で課税なし | 賃貸料相当額で課税なし |
| 対象 | 役員・従業員 | 従業員 | 役員・使用人兼務役員 |
| 固有の論点 | — | — | 豪華社宅の判定等 |
最大の違いは税務上の扱いです。住宅手当は現金支給のため全額が給与課税されますが、社宅(現物)は賃貸料相当額(税法令に基づき定まる、入居者が最低限負担すべき家賃の目安)以上を負担すれば、給与課税が生じません(出典: 国税庁 No.2600)。
ケース別・どれを選ぶべきか

- 経営者(役員)自身の住まい:役員社宅が選択肢。賃貸料相当額の負担で済み、住宅手当より扱いが有利になり得る
- 従業員の住まい支援:借り上げ社宅(従業員向け)。福利厚生として活用
- 手間をかけず現金で支援:住宅手当。ただし全額課税になる点は理解しておく
ポイント
経営者自身の住まいなら、役員社宅が有力な選択肢です。役員社宅を選ぶ前に、役員社宅のメリット・デメリットを整理しておくと判断しやすくなります。どれが自社に合うかは、税務面を含めて顧問税理士に確認しましょう。
税務上の扱いの違い

住宅手当と社宅の最大の違いは、この税務上の扱いです。住宅手当は現金支給のため、原則としてその全額が給与として所得税・住民税の課税対象になります。一方、社宅は入居者が賃貸料相当額以上を負担していれば、給与課税は生じません。
役員社宅の賃貸料相当額は、所得税基本通達36-40・36-41等に基づいて算定します(出典: 国税庁 No.2600)。具体的な計算方法は関連記事で解説しています。
注意
同じ「住まいの支援」でも税務上の扱いは大きく異なります。どの方法が自社にとって適切かは、必ず顧問税理士にご確認ください。
よくある質問

役員社宅と借り上げ社宅は別のものですか?
役員社宅は、借り上げ社宅(会社が借りて貸す仕組み)を役員に対して行うものです。借り上げ社宅の一形態が役員社宅、という関係になります。
住宅手当から役員社宅に切り替えられますか?
切り替えを検討する会社は多くあります。ただし物件の契約形態や規程の整備が必要になるため、税務面を含めて顧問税理士と進め方を確認してください。規程の整備には、役員社宅規程のひな形(無料ダウンロード)もあわせてご参照ください。
まとめ

住宅手当・借り上げ社宅・役員社宅は、税務上の扱いが大きく異なります。経営者自身の住まいなら、賃貸料相当額の負担で済む役員社宅が有力な選択肢です。まずは違いを正しく理解し、自社に合う方法を選びましょう。
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免責事項
本記事は役員社宅制度に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を示すものではありません。実際の適用にあたっては、税理士等の専門家にご相談ください。